Arne-Jacobsen-Bankers-Vaegur-HvidSortRoed-43640.png Bankers wall clock by Arne Jacobsen in white, black and red hanging on a wall
on September 09, 2026

アルネ・ヤコブセンの壁時計4種、Bankers・Roman・Station・City Hall の選び方

アルネ・ヤコブセンは4つの異なる建築のために壁時計を描き、その4枚の図面はいまも Ø29 cm で製品化されています。直径が同じなら、選択はもうサイズの問題ではなく、文字盤の問題に変わります。毎日どの目盛りを読みたいのか、そしてどれくらい離れた場所から読むのか。Bankers、Roman、Station、City Hall はその答えがそれぞれ違い、その差はカタログ写真では見落としやすいものです。

4つの依頼、4つの文字盤

もっとも古いのは Station で、1941年にデンマークの電機メーカー LK のために描かれました。その翌年に生まれたのが Roman、ヤコブセンがエリック・モラーとともに手がけたオーフス市庁舎のための時計です。City Hall は1956年、ロズオウア(Rødovre)市庁舎のために続きました。新しい建物のために建築家が立てた総合的な構想の一部であり、ドアハンドルや照明、サイン計画を生んだのと同じ製図作業から出てきています。もっとも新しいのは Bankers、1971年にデンマーク国立銀行のために作られた、ヤコブセン最後の大きな仕事です。

この順序には意味があります。それぞれの文字盤は、読み取る距離がはっきりした部屋のために描かれたからです。駅のホール、議場、銀行の営業フロアが時計の表情に求めるものは同じではありません。現在 Rosendahl Design Group が手がける各モデルは当時の図面に沿っており、4つの文字盤はいまも、それぞれが生まれた建物の論理を住まいの寸法で受け継いでいます。

アルネ・ヤコブセンによる Station 壁時計、ホワイトとブラック、アラビア数字の文字盤
1941年に電機メーカー LK のために描かれた Station は、4つのなかで唯一、数字が一周そろう文字盤を持ちます。

Ø29 cm の4モデルを比較する

4モデルはいずれもミネラルガラスのレンズ、アルミニウムのケース、ABS からなる構造を共有し、いずれもバッテリー式のムーブメントで動きます。実際に何が違うのかは、下の表のとおりです。

項目BankersRomanStationCity Hall
描かれた建築デンマーク国立銀行、1971年オーフス市庁舎、1942年LK、1941年ロズオウア市庁舎、1956年
直径29 cm29 cm29 cm29 cm
ケースの奥行き6.3 cm6.3 cm6.3 cm6 cm
重さ1.36 kg1.35 kg1.44 kg0.344 kg
文字盤の処理分目盛りをグループ分け、数字なしローマ数字アラビア数字、ブラックのアルミトップリングバーインデックスのみ
素材ミネラルガラスのレンズ、アルミニウムケース、ABSミネラルガラスのレンズ、アルミニウムケース、ABSミネラルガラスのレンズ、アルミニウムケース、ABSミネラルガラスのレンズ、アルミニウムケース、ABS
カラーホワイト、ブラック、レッド、またはブラックホワイトとブラックホワイトとブラックグリーン、ブルー、またはホワイトとブラック
向いている場所ひと目で時間を確かめる書斎やリビング文字盤が装飾でもある玄関やダイニング分単位が効いてくるキッチンや作業室時計が形のままでいてほしい静かな壁

部屋の向こうから、いちばん速く読めるのはどれか

離れた場所での読みやすさは、文字盤が持つ情報量だけで決まるものではありません。目がどれだけ解読せずに済むか、という問題です。その物差しで見ると、4モデルはきれいに分かれます。

  • Station は正確な時刻を言い当てるのがいちばん速いモデルです。アラビア数字が一周そろっているので数える必要がなく、ブラックのアルミトップリングが淡い壁を背景に文字盤の輪郭を締めます。だからこのグラフィックは数メートル離れても読めます。
  • City Hall は形として読むのがいちばん速いモデルです。バーインデックスだけで数字がないため、数字ではなく針の角度を認識します。おおよその時刻には速く、分まで正確に知りたいときは少し遅くなります。ヤコブセンの前提は、時計は余計なものなしにひとつの仕事をすればよい、というものでした。
  • Bankers はその中間にあります。数字は落としつつ、分目盛りのグループ分けは残しているので、リング自体が読み取れる単位に分かれ、分針はつねに目印の上に落ちます。ホワイト、ブラック、レッドの仕様では、赤い針が仕事の多くを引き受けます。
  • Roman は解読にいちばん時間がかかり、眺める楽しさはいちばん大きいモデルです。ローマ数字は読むのにわずかに時間がかかり、とくに文字盤の左側でそれが表れます。近い距離で見る場所、あるいは機能と同じくらい図案を味わいたい場所に向くのはこの一台です。

廊下の突き当たりに掛けるなら、Station か City Hall のほうが役に立ちます。机やダイニングテーブルの上に掛けるなら、読むのに時間のかかる文字盤でもまったく不利にはなりません。

アルネ・ヤコブセンによる City Hall 壁時計、グリーン、バーインデックスのみの文字盤
グリーンの City Hall。インデックスはバーのみ、0.344 kg と4モデルでもっとも軽い一台です。

奥行きと重さ、そして掛け方

4モデルはいずれも薄く、壁からガラスまで 6〜6.3 cm に収まります。手前に湾曲したガラスを支えるケースが、この時計が壁から浮いて見える印象をつくっています。Bankers、Roman、Station は 6.3 cm の奥行きを共有し(Station のケースは高さ 6.5 cm とも記載されます)、City Hall は縦横ともに 6 cm でもっとも薄い一台です。壁の上では小さな差ですが、斜めから光が差す日中に、ケースが落とす影の量が変わります。

実用面でより大きな変数は重さです。Bankers は 1.36 kg、Roman は 1.35 kg、Station は 1.44 kg で、いずれもしっかりした固定を求めます。下地の入った壁か、プラグを打った石壁が理想です。City Hall Wall clock Ø29 cm は 0.344 kg と例外的に軽く、石膏ボードにもずっと気楽に掛けられます。間仕切り壁や賃貸の部屋に掛けるなら覚えておきたい点です。手入れは4モデルとも同じで、乾いた柔らかい布で拭くこと、そしてミネラルガラスのレンズを傷つけかねないものは使わないことです。

色と、それぞれの居場所

色は文字盤と同じくらい選択肢を絞ります。Roman Wall clock Ø29 cm white/black と Station Wall clock Ø29 cm white/black はホワイトとブラックで描かれ、市庁舎と工場のための原型に近い姿を保ちながら、ほとんどどんな壁にもなじみます。Bankers Wall clock Ø29 cm はホワイトとブラックの仕様に赤のアクセントを加えるか、文字盤全体をブラックにするかで、暗い壁の前では後者のほうが静かに見えます。

City Hall は、色そのものとして振る舞う一台です。現行版はアルネ・ヤコブセン自身のパレットから採った色を文字盤とケースの両方に置き、ホワイトとブラックに加えてグリーンとブルーがそろいます。そのため、この時計はまず色の円盤として、次に計器として目に入ります。白い文字盤では硬く見えてしまう部屋に選びたい一台です。

アルネ・ヤコブセンによる Roman 壁時計、ホワイトとブラック、ローマ数字の文字盤
1942年にオーフス市庁舎のために描かれた Roman は、市庁舎の原型が持つローマ数字をそのまま受け継いでいます。

決める前に知っておきたいことが、あと二つあります。Roman、Station、Bankers はいずれも複数のサイズで展開しているので、Ø29 cm で気に入った文字盤を、家の別の場所でより小さく繰り返すことができます。机やベッドサイドに置ける Ø11 cm のテーブルタイプまであります。また Bankers の文字盤は気圧計、温度計、湿度計にも使われており、時計の横に一列に並べて掛けると具合よく収まります。選ぶ前にサイズ展開をひととおり見たい方は、Clocks コレクションをご覧ください。