ポール・ヘニングセンは反射光を軸にランプを設計しました。そのためPHランプの光の質は、光が当たって跳ね返る面の状態で決まります。このガイドでは、マットラッカー仕上げのアルミニウム、ソフトタッチ塗装、オパールアクリル、オパールガラス、布製コードを、仕上げのつやを損なったり光の質を変えたりせずに掃除する方法を紹介します。
白い内側の面が大切な理由
PHシェードはすべて対数螺旋にもとづいて描かれています。この曲線によって、1つの電球から出た光が各シェードの内側に当たり、制御された角度で外へ放たれます。光源は隠れ、部屋には柔らかく重なり合う、まぶしさのない光が届きます。簡単に言えば、電球がシェードを照らし、シェードが部屋を照らすのです。形状についてさらに詳しく知りたい方は、PHの3枚シェードシステムの仕組みを解説した記事で数値とともに紹介しています。
だからこそPH 5 Pendant Lampは、外側の色にかかわらず、内側を白く仕上げたマットラッカー塗装のアルミニウムで作られています。消灯時に見えるのは外側の仕上げ、点灯時に見えるのは白い内側です。PH 5の内部には小さな赤と青のコーンもあり、演色性をさりげなく整えています。PH 80 Table Lampでは、隠れた赤いトップリフレクターが光をろうそくのような温かみへと近づけます。
これらの面にたまった埃は、見た目が雑然とするだけではありません。マットな白が選ばれているのは光を均一に拡散するためですが、埃はそこに灰色がかったざらつきのある層をつくり、光の一部を吸収して、シェードからシェードへと移るグラデーションを平板にしてしまいます。内側はランプの「働く部分」、外側はランプの「顔」と考えてお手入れしましょう。

マットラッカー仕上げのアルミニウムの埃取り
マットラッカーは、熱心すぎる掃除でもっとも傷みやすい仕上げです。控えめなつやは表面の細かなテクスチャーによるもので、研磨作用のあるもの(たわし、粒子の粗いクレンザー、硬いペーパータオル、さらには砂粒を挟んだまま乾いた布で強くこすることも)は小さな部分を磨いてしまい、シェードのほかの部分と二度となじまない光沢ムラを残します。PH 3/3 Pendantのソフトタッチのブラック塗装アルミニウムにも同じ注意が必要です。
- 電源を切り、冷ます。本体または壁のスイッチでランプを消し、電球とシェードが手で触れて冷たくなるまで待ちます。
- まずは浮いた埃を取る。柔らかい羽根ばたきか、清潔で乾いたマイクロファイバークロスを使い、各シェードのカーブに沿って上から外側へ軽くなでるように動かします。外側だけでなく白い内側も忘れずに。
- こすらず、拭き取る。埃取りで落ちない汚れには、きれいな水でわずかに湿らせ、濡れていると感じなくなるまで固く絞ったマイクロファイバークロスを使います。やさしく拭いたら、すぐに別の柔らかい布で乾拭きしてください。
- スペーサーには触れない。PH 5のロール加工されたアルミニウム製スペーサーは、シェード同士を正確な位置関係に保っています。周囲の埃は取っても、掃除中に曲げたりねじったりしないでください。
ランプに直接スプレーするのは避けましょう。液体はいちばん低いところへ流れ、ペンダントの場合たいていそれはソケット部分です。布はほんのわずかに湿らせる程度にとどめ、電気部品は乾いた状態に保ちます。
頻度の目安は?ダイニングテーブルやキッチンアイランドの上のペンダントは、数週間ごとに軽く埃を払い、くもりが見えたら湿らせた布でやさしく拭くのがおすすめです。ときどき念入りに掃除するより、こまめに少しずつのほうがマット仕上げにはやさしいのです。
オパールアクリルとオパールガラスの扱い方
オパールシェードは性質が異なります。光を反射するだけでなく透過もするため、拭きムラがあると点灯時に影となって現れます。仕上がりはランプを点灯して確認しましょう(冷めてから電源を戻したうえで。掃除中は決して点灯しないでください)。日中は見えない跡も、光を背にすると目立つからです。
PH 80:成形オパールアクリル
PH 80 Table Lampは、ヘニングセンの生誕80年にあたる年を記念して1974年に生まれたランプです。シェードは高圧成形のホワイトオパールアクリル、トップシェードはポリカーボネート製。アクリルはガラスより軽く、とても均一に光りますが、柔らかいぶん傷がつきやすい素材です。清潔なマイクロファイバークロスだけを使い、埃は乾拭き、指紋はごくわずかに水で湿らせて拭きます。円を描くのではなく一方向に拭いてください。粗い繊維や研磨剤入りの製品は細かな傷を残し、その傷が光を拾ってしまいます。
サイズは320 x 405 x 320 mm、重さは6.0 kgあるので、シェードを持って持ち上げないでください。掃除中は片手でステムかベースを支え、裏側に手を届かせたいときはベースを持って動かします。

PH 2/1とPH 3/3:手吹きのオパールガラス
PH 2/1 Table Lampのシェードは手吹きのホワイトオパールガラスで、光を均一に広げるため下面にサンドブラスト加工が施されています。PH 3/3 Pendantは、手吹きのホワイトオパール三層ガラス、または金属との組み合わせから選べます。ガラスは湿らせた布での拭き掃除によく耐えますが、PH 2/1のサンドブラスト加工された下面にはより軽いタッチが必要です。細かなマットの質感が埃を、さらには繊維までとらえてしまうからです。柔らかい乾いたブラシかマイクロファイバークロスで払い、湿らせた布で拭くのは滑らかな外側の面だけにとどめましょう。
PH 2/1はコンパクトで、サイズは200 x 355 x 200 mm、ベースはØ120 mm、重さは仕上げにより3.4–3.6 kgです。置いた場所のまま掃除し、拭いているシェードは空いている手で支えます。トッププレート、ベース、ステムは削り出しの真鍮に、メタライズド仕上げまたは高光沢のクロームめっきを施したもの。指紋は柔らかい乾いた布で十分に落とせます。

布製コードとキャノピーの掃除
布製コードは見落としがちで、しかもすぐに埃がたまります。PH 5は3 mの布製コード、PH 3/3は4 mのブラックのテキスタイルコードで吊り下げられています。必ず先に電源を切ってください。
- 乾いたマイクロファイバークロスで、キャノピーから下へ一方向にコードをなでます。ランプや天井の取り付け部を引っ張らないよう、コードは軽く持ちましょう。
- 落ちにくい埃には、掃除機に柔らかいブラシノズルを付け、いちばん弱い設定で、やはり上から下へかけます。
- コードを濡らしたり、ねじったり、結んだりしないでください。水分は編み込みの布を伝って広がることがあり、結び目は内部の導線に負担をかけます。
- 天井のキャノピーは乾いた布で拭きます。PH 3/3のサスペンションユニットとキャノピーはマットブラックの粉体塗装アルミニウムなので、シェードと同じやさしい方法で手入れできます。
PH 80のコードは2.5 mで、中間スイッチ付きです。スイッチ部分は乾拭きし、液体がかからないようにしてください。

ランプ別お手入れ早見表
| ランプ | シェードの素材 | 日常のお手入れ | 特に注意すること |
|---|---|---|---|
| PH 5 Pendant Lamp | マットラッカー仕上げのアルミニウム、白い内側 | 乾いたマイクロファイバーか羽根ばたき。くもりにはわずかに湿らせた布 | 研磨剤、ロール加工のアルミ製スペーサー、3 mの布製コード |
| PH 3/3 Pendant | ソフトタッチのブラック塗装アルミニウム、オパールガラス、またはその両方 | 金属部は乾いた布、ガラス部は湿らせた布 | ソフトタッチ仕上げをこすること、4 mのテキスタイルコード |
| PH 80 Table Lamp | ホワイトオパールアクリル、ポリカーボネート製トップシェード | 清潔なマイクロファイバーで一方向に | 傷、シェードを持っての持ち上げ(6.0 kg) |
| PH 2/1 Table Lamp | 手吹きのオパールガラス、サンドブラスト加工の下面 | 外側のガラスは湿らせた布、下面は柔らかいブラシ | サンドブラスト面に残る繊維、割れやすいガラス |
4つのランプに共通する原則は同じです。埃が膜になる前に取り除く、水は最小限に、研磨作用のあるものは決して使わない、そして液体を電気部品に近づけない。こうして手入れを続ければ、PHランプは何十年ものあいだ変わらず、均一で温かな光を届けてくれます。
PHランプが灯る部屋にもうひとつ加えるなら、ルイスポールセンのコレクションをすべて見るから、反射光について同じ考え方を持つデザインを探してみてください。
