デザインオブジェクトとして選ばれる木のおもちゃの多くは、最後には棚に飾られることになります。ビーチ材のKay Bojesenロッキングホースは、床の上で使うためのものです。小さな手が木のハンドルを握り、子どもの体重を受けて揺り木が前後に揺れる。本稿ではそのつくりと、全長86 cmの揺り木馬と暮らすことの実際、そしてKay Bojesen Babiesシリーズの中での位置づけを見ていきます。
銀細工師が考えたおもちゃ
カイ・ボイスン(1886–1958)は銀細工師として修業し、コペンハーゲンに自身の工房を構えてカトラリーや銀器を手がけたのち、次第に木の仕事へと軸足を移しました。1930年代以降に生まれたおもちゃや動物のフィギュアは、いまでは銀器よりも広く知られています。Monkey、Bear、Elephant、Royal Guard。よく引用される彼の信条は「線は微笑んでいなければならない」というものでした。形は丸みを帯び、顔はわずかな印だけに削ぎ落とされ、装飾のためだけの要素はひとつもありません。
その親しみやすさの奥には、使うことへの確かな考えがありました。ボイスンのおもちゃは遠くから眺めるものではなく、手に取り、遊び、ぶつけられることを前提にしています。現在Rosendahl Design GroupがKay Bojesen Denmarkの名で製作するKay Bojesen Babiesコレクションは、その考えを家のいちばん小さな住人のためのアイテムへと引き継いでいます。製品説明にも、どのアイテムも手に取り、楽しみ、次の世代へ受け継ぐためにつくられていると率直に書かれています。
Monkeyをすでにご存じなら、Kay Bojesen Monkeyとデンマークのおもちゃの伝統の記事で、同じ工房の歴史を動物フィギュアの側から紹介しています。

ロッキングホースのつくり
Rocking Horse H56 cm beechは高さ56 cm、長さ86 cm、奥行き23.5 cm、重さは4.24 kgです。素材はラッカー仕上げのビーチ材。目が詰まった硬く緻密な広葉樹で、明るく均一な色合いを持っています。きれいに加工でき、なめらかに仕上がり、丸く面取りした角も崩れにくいことから、ビーチ材は長く北欧のおもちゃや家具の定番の木材とされてきました。ラッカーが表面を保護するため、木は明るいトーンを保ち、べたついた手で触れたあとも簡単に拭き取れます。
デザインは、昔ながらの子ども部屋にあるような斑模様で鞍をつけた木馬ではなく、ボイスンらしい造形言語に従っています。頭部は平たく柔らかな輪郭で、ぴんと立った2つの耳と点の目があり、そこを丸い棒が貫いてハンドルになっています。座面の後ろには小さな曲線の背もたれがあり、乗る子どもが寄りかかれます。貫で補強された4本の脚が開きながら胴体を支え、両端でつながった長く浅い2本の揺り木へと下りていきます。塗装も、たてがみも、あぶみもありません。装飾の役目はビーチ材の木目が担っており、そのため子ども部屋だけでなくリビングにも自然になじみます。
4.24 kgという重さは、大人が片手で持ち上げて部屋から部屋へ運べるほど軽く、それでいて揺らしたときにはしっかりと安定を感じる重さです。たとえば週末に子ども部屋からリビングへ移すなど、頻繁に動かすつもりなら覚えておくと役立つ数字です。
86 cmの揺り木馬に必要な床スペース
奥行き23.5 cmとスリムなので、壁際や本棚と窓のあいだにも、部屋を圧迫せずに収まります。計画が必要なのは長さです。土台は端から端まで86 cmあり、揺り木はじっとしていません。前後に傾くたびに弧の両端が上下し、子どもが勢いよく体を預ければ、木馬全体が床の上を少しずつ動きます。実際には86 cmよりはっきり長い空いた床の帯を確保し、両端に壊れやすいものを置かないようにしたいところです。
- 壁際に置く場合:壁に向けるのではなく壁と平行に置けば、揺り木は幅木の方向ではなく開けた床に沿って動きます。
- ラグの上:平織りのラグなら、むき出しの床板よりも静かでなめらかに揺れます。毛足の長いラグでは動きが不安定になることがあります。
- 家具の近く:ローテーブルや植木鉢、フロアランプは、前後どちらの端の動線上にも置かないようにします。
- 乗らないとき:高さ56 cmは低いサイドボードとほぼ同じ高さなので、誰も乗っていないときも部屋の中のオブジェとして映ります。
はじめて乗る前に、パッケージと付属の説明書で対象年齢の推奨を確認し、それに従ってください。

Babiesシリーズに見る3つのビーチ材の仕上げ
ロッキングホースはBabiesシリーズで最も大きなアイテムで、ビーチ材をそれぞれ異なるかたちで使う小さなおもちゃたちと素材を共有しています。仕上げに注目すると、それぞれが何のためのものかがよくわかります。
Pyramid Tower Ø11 cm multiは塗装したビーチ材製です。高さ22.5 cm、直径11 cm、重さ0.5 kg。赤、青、黄、緑に塗られた6つのリングを、無垢のビーチ材の玉をのせた中央の軸に大きさの順に重ねていきます。こうした積み重ねのおもちゃのテーマは順番と色。完成したタワーは、遊びの合間に棚に置いても楽しいオブジェになります。

Rattle H3 cm beechはその反対です。無塗装のビーチ材で、高さ3 cm、直径8.5 cm、重さ0.02 kg。木のリングの中に1本のバーが渡され、その中央にビーズがひとつ付いています。木を素地のままにすることで、ガラガラを素材が許すかぎりシンプルに保っています。とても小さな手に握られるためのアイテムに無塗装の木材を選んだ理由もそこにあります。
シリーズには、マルチカラーで直径23.5 cm、高さ47 cm、重さ0.19 kgの吊り下げ式モビールもあります。4つを合わせると、握るもの、見上げるもの、積むもの、そして乗るものがそろいます。

ビーチ材のおもちゃのお手入れ
3つのおもちゃのお手入れ方法は共通で、しかも簡単です。直射日光を避けてください。日光は木の色を少しずつ変え、塗装面を退色させることがあります。汚れは乾いた柔らかい布で拭き取ります。いずれも食器洗い機には対応していないので、水に浸けたり高温にさらしたりしないようにしましょう。
ロッキングホースはラッカー仕上げで表面が保護されているため、指の跡などふだんの汚れはたいてい乾いた布で拭き取れます。無塗装のRattleは触れるうちにゆっくりと色が濃くなりますが、それも素地の木ならではの味わいです。塗装したPyramid Towerは、すべてのリングの色が均一に保たれるよう、暖房器具や日の当たる窓辺から離して置くのが理想です。
ロッキングホースを選ぶということ
ロッキングホースがふさわしいのは、乗れる年齢の子どもがいて、木馬が動けるだけの長さの床があるときです。明るいラッカー仕上げのビーチ材と削ぎ落とされた形のおかげで、プレイルームに隠しておく必要はなく、4.24 kgの重さなら出し入れも気軽です。まだ小さな赤ちゃんには、Babiesシリーズの小さなアイテムから始めるのが自然で、木馬はその次に迎えるアイテムになるでしょう。
ボイスンによる木の動物や鳥、フィギュアをもっと見たい方は、Wooden Figures & Sculptures コレクションをご覧ください。
