Kähler のストライプのベースは、現代デンマークの陶器のなかでも、見せられなくても多くの人が思い浮かべられる数少ない存在だ。あまり知られていないのは、そのストライプがいま3つの仕上げに分かれていて、棚の上での振る舞いがそれぞれ違うということ。オリジナルの Omaggio、Omaggio Nuovo、Omaggio Circulare を並べて比べ、複数を並べたときに最も静かに収まるのはどれかを見ていく。
ストライプの出自
Kähler は1839年、デンマークの Næstved で創業した。評価を築いたのはグラフィックな模様ではなく、釉薬とラスターの仕事だ。イタリア語で「オマージュ」を意味する Omaggio は、コペンハーゲンのスタジオ Stilleben がその陶器の伝統に捧げたもの。Reckweg と Nordentoft は、この窯の装飾の伝統をひとつの発想に還元した。手描きの水平なストライプの帯を、細い首に向かってゆるやかにすぼまる胴に巻きつける、という発想である。
見落とされがちなのは、その首のほうだ。剣山やグリッドがなくても3、4本の茎をまっすぐ立てられるだけの細さがあり、だから一輪のピオニーや桜の枝一本が、寂しげではなく意図したものとして読める。ストライプ自体も視覚的な仕事をする。水平に走るためベースは横に広がって見え、20 cm の一点が、背の高い無地の隣人たちのそばでも引けを取らない。
Omaggio、手描きストライプのオリジナル
Omaggio Vase H20 cm が基準となるバージョンだ。ファイアンス製で、高さ20 cm、直径16 cm、重さ1 kg。釉薬には光沢があり、3つのカラーは日中の光のもとでまったく違って見える。Black はグラフィックで平坦、Mother of pearl は角度によってクリームとピンクのあいだを揺れ、Silver は周囲のものを映し込む冷たい金属的なラスターをもつ。
同じデザインに H31 cm があり、直径19 cm、重さ1.8 kg。高さの11 cm よりも、この800 g の差のほうが効いてくる。背の高いほうは底が十分に重く、丈の長いチューリップやグラジオラスを入れても傾かない。Omaggio をひとつだけ選んで一年中使うつもりなら、31 cm のほうが融通が利く。複数を並べて群にするつもりなら、20 cm から始めたい。

この光沢のある表面こそが決定的な性格だ。ランプの光をベースの肩に沿って硬く明るい線として返すので、ダイニングテーブルの上では生き生きとし、物の多い棚の上では騒がしくなる。3色のなかで最も穏やかなのは Mother of pearl で、ラスターがストライプとストライプの境目をやわらげるからだ。
Omaggio Nuovo、色を落ち着かせたストライプ
Omaggio Nuovo は同じ手描きストライプの現代的な読み替えで、違いは構造ではなく色にある。Omaggio Nuovo Vase H20.5 cm はダークブルーとダスティローズの2色、いずれも釉薬をかけた陶器で、ストライプは地の色と対比するのではなく、その色調のなかに収まっている。本や額、ランプがすでに載っている棚では、これが一歩引いてくれるバージョンだ。
高さがほしいなら Omaggio Nuovo Vase H30 cm blue がある。ひとつの強い色でまとめた背の高い姿を、シリーズに加える一点だ。単独で使うならソファの脇や廊下で、花束ではなく長い枝を数本挿す使い方が合う。20.5 cm と組ませれば、3つ目のものを足さなくても収まる、高低ふたつのペアができる。

Omaggio Circulare、マットな表面とエコクレイ
Omaggio Circulare はこのデザインの最も新しい考え直しで、素材と光の両方を変えている。Omaggio Circulare Vase H20 cm anthracite grey はエコクレイ製で、粘土そのものを循環させる考え方でつくられ、仕上げは光沢ではなくマットだ。高さ20 cm、直径16 cm という馴染みの寸法はそのままに、重さは1.3 kg。ファイアンスのオリジナルより、手のなかで明らかに密度がある。
選ぶ理由はこのマットな仕上げにある。光沢がないので胴を走るハイライトが生まれず、ストライプは反射ではなく質感として読まれ、アンソラサイトグレーはニュートラルのように振る舞う。素材の違う陶器を並べた群のなかで、競い合うのではなく全体をまとめてくれるのがこの一点だ。大きい H31 cm は直径19 cm、重さ2.6 kg となり、ここで挙げたどのベースよりも安定する。

3つを並べて
| Omaggio | Omaggio Nuovo | Omaggio Circulare | |
|---|---|---|---|
| 高さ | 20 cm と 31 cm | 20.5 cm と 30 cm | 20 cm と 31 cm |
| 直径 | H20 で16 cm、H31 で19 cm | 細くすぼまる胴 | H20 で16 cm、H31 で19 cm |
| 重さ | H20 で1 kg、H31 で1.8 kg | 高さのわりに軽い | H20 で1.3 kg、H31 で2.6 kg |
| 素材 | ファイアンス | 釉薬をかけた陶器 | エコクレイ |
| 表面 | 光沢があり、反射する | 釉薬、色調で見せる | マット、質感で見せる |
| 色 | Black、Mother of pearl、Silver | ダークブルー、ダスティローズ、ブルー | アンソラサイトグレー |
| デザイナー | Stilleben | Stilleben のストライプ、色を再構成 | Stilleben |
| 向く使い方 | 一点でグラフィックに見せる | 既存の色に溶け込ませる | 混ざった群をまとめる |
どれを選び、どう並べるか
ベースそのものに目を向けさせたいなら、オリジナルの Omaggio を。淡い色のサイドボードには Black、すでに金属のある部屋には Silver。棚がすでにいっぱいで、コントラストなしに色だけを足したいなら Omaggio Nuovo。群をつくっている途中なら Omaggio Circulare を選びたい。マットな表面はハイライトを返さず、隣の器から視線を奪わない唯一のものだからだ。
群にするときの原則は3つ。奇数でまとめること、高さをはっきり変えること(20 cm の隣は20.5 cm より30 cm のほうがよく読める)、そして光沢のあるものは群にひとつだけにすること。高さだけでなく茎の長さで選ぶとよい。庭で切った短い花は、縁に寄りかかれる20 cm の胴に収まりがよく、まっすぐ長い茎は、倒れずに立つために31 cm の重い底を必要とする。
手入れは3つとも同じだ。湿らせた布で拭き、食洗機には入れない。手描きのストライプは一点ごとにわずかに違い、それがこのデザインの要点でもあるから、揃った群にしたいならサイズをまとめて選びたい。サイズよりシリーズで迷っているなら、Hammershøi と Omaggio の比較が、同じ窯のフルーテッドな選択肢を扱っている。ストライプの胴が磁器やガラスとどう並ぶかを見るなら、花瓶コレクション をご覧いただきたい。
